今日は梅の句を詠んだり選句したりで一日が暮れる。紅白の梅、盆梅、梅林、寺社や山や野や庭の梅の花が咲き競って、頭の中が一杯になった。
ふふむ梅歳旦に咲けと陽にいだす
歳旦に咲くか日向のふふむ梅
年迎へ盆梅三輪咲きにけり
競ひあひ力漲るふふむ梅
列なりて漲り競ふ梅蕾
これらは捨てた句である。
ついでに、調べたことだが、梅の異名には、好文木(こうぶんぼく)・木の花、此の花(このはな)・花の兄・春告草(はるつげぐさ)・匂草(においぐさ)・香散見草(かざみぐさ)・風待草(かぜまちぐさ)・香栄草(かばえぐさ・こうばえぐさ)・初名草(はつなぐさ)。その他、「鉄樹。清友。香雪。氷花。雪君。杣婆。氷塊。玉骨。逸民。孤山。石龍。君子香。香雪。百花魁。花儒者。世外佳人。朽木」があげられる。
室町時代なかごろから昭和初期まで行なわれた用字集、広本(文明本)『節用集』に記される梅の異名は、「花魁。氷肌。氷姿。氷仙。玉骨。止渇。南枝。北枝。和羹。玉蘂。額黄。清客。清痩。龍鱗。瓊林。五出花。白氷。清友。花御史。瓊膚。瓊枝。素兄。万玉。妃。暗香。疎影。横斜。龍眼。仙麝。清女。和靖。江南信。標霜。遥若暖。呉姫面。公主花。槍莫。木母。映雪麗枝。清客。時莫。圓成。紅絞。紫花。痩骨。氷雪。衡霜。皎雪。同心。落素。推骨。」とある。
異名の多さは万人に愛される花だからであろうか。現在は「ウメ」と言うが、、奈良時代「万葉集」では「ウメ」、平安時代以後は「ムメ」といったようで、このオンは「うみむ(熟実)」の転とか、中国音「メイ」の転訛という。また、『万葉集』に詠まれた花のうち梅は萩についで多く、百十数首あり、奈良時代は「花見」といえば梅見であったという。
梅の季節は長いようで、我が家の梅も、盆梅で年の初めに咲いて散った後の手入れを終えたものもあれば、まだ蕾だけの木もある。
(二〇〇七・二・一九)