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  七夕(コラム)


 「たなばたさま」という文部省唱歌があった。
「①、ささの葉 さらさら 軒ばに ゆれる お星さま きらきら 金銀 砂子。 ②、五色の 短ざく わたしが かいた お星さま きらきら 空から 見てる。」
 この笹飾りの風習も、盛んなのは仙台・平塚・一宮の三大七夕を筆頭にあちこちの大規模な商店街のものばかりで、家庭的な風習としては見られなくなったように感ずる。笹を川に流すことも出来ず、ゴミに出すのでは願い事を書く気にもならないのだろう。
 本来は、七夕は旧暦七月七日の行事で、五節句の一つ、初秋の行事だった。現在は梅雨の明ける前の行事になっていて、七夕を秋の季語とする俳句の季節感と随分食い違う。
 一日「七夕」をテーマにした句をひねっていたが、上手くいかない。

 「十年七月七日の夜、独り天漢(あまのがは)を仰ぎて聊かに懐(おもひ)を述ぶる一首
織女(たなばた)し船(ふな)乗りすらし真澄鏡きよき月夜(つくよ)に雲起(た)ちわたる
 右一首は、大伴宿禰家持作る 」(万葉集・家持歌日記)
(七夕の夜、織女が今しも船に乗って天の川を渡って行くらしい。船出の水しぶきでであろうか晴れ渡っていた月夜に雲が広がってきた。)

  我星は上総の空をうろつくか 文化句帖・一茶
  涼しさは七夕竹の夜露かな  文政句帖・一茶

 星の見えない夜空を眺め、文化の構造に思いをはせた。
                 (二〇〇六・七・七)
by teinen-t | 2009-11-28 11:22 | コラム
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